モノを使ったわらしべ長者戦略
自分はスキルをわらしべ長者のように使うことで転職を成功させ、年収を上げることができた。キャリア形成としてのわらしべ長者戦略は、持ち前のスキルを育てる手段として言われることが多い。一方で、本来のわらしべ長者は物々交換の末に成功した。自分も、モノを使ったわらしべ長者戦略を試していないわけではない。
馬は現代の「車」
自分が「わらしべ長者」に目を通し、まっさきに驚いたのは、馬を手放すシーンだ。観音さまに祈って馬を生き返らせてもらい、鞍や鐙まで揃えたのに、「盗んだと思われる前に売りたい」と言って、馬をさっさと手放してしまう。
当時の馬は、車のように移動や運搬の手段だ。わらしべ長者に出てくる立派な馬ともなれば、フェラーリやポルシェやフォードのような、実用も憧れも兼ね備えた馬だったに違いない。眺めるだけでもほれぼれして、所有欲を満たしてくれるような馬だったはずだ。
ただ、車として考えるのであれば、男のリスク感覚は多少なりとも理解できる。派手な車は目立つし、前の持ち主を知っているといろいろ面倒がありそうだ。また、馬もそうだが車には耐用年数があり、どんどん価値が下がっていく。価値が下がる前に売りたいと考えるのも頷ける。
フェラーリは投資?
年収の引き上げに成功してからは、かねてより憧れていたフェラーリを手に入れた。そこで、フェラーリが投資先として申し分ないスペックを持っていることも知ることになった。
通常、車は年月が立つほど資産価値は下がっていく。しかし、ヴィンテージやアンティークが愛されるような世界に入ると、価値の基準は一変する。より古いもののほうが愛好家の目を惹き、価値が上がるのだ。この傾向は、特にフェラーリで顕著だった。
一見、無駄遣いのように思うかもしれないが、フェラーリのような海外高級車はとても素晴らしい投資対象になる。馬は死んでしまうが、フェラーリは死ぬことがない。管理さえ間違えなければ、何十年も生き続ける。
男が馬を欲しがる人を見分けたように、こういうものは、マッチング次第で大きなわらしべ長者効果が生まれるのだ。ただし、フェラーリでわらしべ長者のようにリターンを得るためには、車自体の価値を知ることが大事である。
自分の場合は、普段から、中古のフェラーリなどを扱うショップに出向いて、情報を集めている。新しめのフェラーリを扱う場合は、インターネットでフェラーリの買取情報(※)に目を通している。
フェラーリーは流行の兆しは何年周期かでやってくるので、そのタイミングを推し量りながらオーナーになる。こうすることで、資産の流動化を妨げることにはならない。
もし手放せない物を持っているとすれば、それは所有しているとはいえない。君が所有されているんだ。
フランク・シナトラ